| 北海道立衛生研究所での仕事 |
| 北海道立衛生研究所では、北海道でのインフルエンザの流行を抑えるため、次のような仕事をしています。 |
| インフルエンザウイルスの分離・同定試験 |
| 道内各地の指定された病院でインフルエンザが疑われる疾患が見つかったとき、保健所を通じてインフルエンザウイルス分離用検体(咽頭ぬぐい液、鼻ぬぐい液など)が当所に送られてきます。これをウイルス分離用の細胞に感染させてウイルスを増やし、数種類の標準抗血清を用いたHI試験(赤血球凝集抑制試験)という方法でウイルスの型を決めます。 試験結果は厚生労働省に報告し、逆に厚生労働省からも全国の情報が提供されます。これによって、北海道と全国で現在流行しているウイルスの型がわかります。 平成12年〜13年シーズンは、55件のウイルス分離用検体から、Aソ連型ウイルスを6株、A香港型ウイルスを1株分離しました。 また、学校や福祉施設などで集団発生が起こった時には、ウイルス分離用検体とは別にペア血清が送付されてくることがあります。ペア血清とは、インフルエンザと考えられる患者の急性期(症状が出てから4日以内:抗体はまだできていない)と回復期(症状が出てから2週間〜4週間:抗体ができている)のペアの血清のことで、急性期の血清中の抗体価と回復期の血清中の抗体価をHI試験によって比較し、急性期よりも回復期の抗体価の方が4倍以上高ければ、この患者がインフルエンザにかかっていたと判定します。 平成12年〜13年シーズンは、流行規模が小さかったこともあり、ペア血清試験は送付されませんでした。 |
| インフルエンザウイルスに対する抗体保有状況調査 |
| インフルエンザ流行前の夏〜秋に道内の指定された病院を受診した患者から、本人や保護者の了解を得て少量の血液を採らせてもらい、乳幼児からお年寄りまで各年齢層におけるインフルエンザウイルスに対する血中抗体価(血液中の抗体の量)を調べます。この試験もHI試験によって行い、結果を厚生労働省に報告します。厚生労働省では、データをまとめて全国に情報を提供しています。この調査から年齢層別の抗体保有率がわかり、次のシーズンのワクチン株を決定する手助けとなります。 平成12年秋に実施した抗体調査では、年齢別に計243人分の血液を採取し、Aソ連型ウイルス、A香港型ウイルスおよびB型ウイルスに対する抗体価を調べました。その結果を下に載せました。 |
|
| A/モスクワ/13/95(H1N1)およびA/ニューカレドニア/20/97(H1N1)は、Aソ連型ウイルス、A/パナマ/2007/99(H3N2)はA香港型ウイルスです。また、B/山梨/166/98およびB/山東7/97はB型ウイルスです。 抗体価が40以上あると感染防御能があるとされています。全体的に見て、若い人たちの方が抗体をたくさん持っており、年をとるに連れて抗体を持つ人の割合が少なくなっていることがわかります。 この結果は、今シーズンのワクチン株を決定する時に役立ちました。 |
| 新型インフルエンザウイルスへの警戒 |
| 新型インフルエンザウイルスは豚の体内で鳥のウイルスと人のウイルスの遺伝子が交雑してつくられると考えられており、中国南部で発生するといわれていますが(「新型インフルエンザウイルス」のリンク参照)、それ以外の地域で飼われている豚が鳥のウイルスに絶対に感染していないとは言い切れません。もしもブタが鳥のウイルスに感染していれば、ブタの体内で鳥のウイルスに対する抗体ができます。そこで道内の養豚場で飼育されている豚の血液中に鳥のインフルエンザウイルスに対する抗体があるかどうか調べています。これもHI試験によっておこなっています。この結果も他の調査と同様で厚生労働省に報告し、まとめられた後、情報提供されます。 平成12年秋に実施した抗体調査では、道内17地域から送付された100頭分のブタについて調べましたが、鳥のウイルスに対する抗体を持ったブタはいませんでした。 |