月間降下物の放射能濃度の経時変化



       月間降下物(札幌市)のCs-137放射能濃度の経年変化


※月間降下物のCs-137放射能濃度について、過去の値と比較すると下図のようになります。大気圏核実験があった1960年代の値やチェルノブイル事故時の最大値と比べると、今回の値はそれよりずっと低い値であり、問題となるような値は検出されませんでした。

2011年3月から12月までは、衛生研究所において毎日24時間ごとに測定している定時降下物(ちり、雨水等)の放射能濃度を測定しましたが、健康に影響がある数値は検出されませんでした。詳細については、こちら(Daily accumulated fallout)
原子力規制委員会の総合モニタリング計画により、2012年1月から測定頻度が1 月に1 度となりました。これは、毎日の試料の測定精度では不検出が続いているため、検出下限値を下げ約 100 倍の精度にするための措置で、従前から続いていた月間降下物の計測に集約されます。



月間降下物におけるストロンチウム90について

文部科学省から、月間降下物におけるストロンチウム90 の分析結果が、平成24年7月24日に公表されました。

都道府県別環境放射能水準調査(月間降下物)におけるストロンチウム90 の分析結果について
http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/6000/5808/24/194_Sr_0724.pdf
日本の環境放射能と放射線「環境放射線データベース」
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/servlet/search.top

北海道(札幌市)の月間降下物におけるストロンチウム90については、試料は当所で採取したものですが、分析は原子力規制委員会で実施しておりますので、詳細については事務局である原子力規制庁にお問い合わせください。

この公表結果によれば、北海道(札幌市)の月間降下物におけるストロンチウム90放射能濃度は、事故後のH23年3月~H23年12月では、検出されませんでした。検出下限値は、0.07MBq/km2 程度となっています。

事故前のH22年4月~H23年2月では、H22年5月以外では検出されませんでした。H22年5月については、過去の核実験等の影響によるもので、0.052 MBq/km2でした。
なお、事故前のH12年4月からH23年2月までの各都道府県の月間降下物で最大だったのは、H18年2月の北海道(札幌市)で、0.3MBq/km2でした。これも過去の核実験等の影響によるものです。

本調査の中で今回の事故後、最大だったのは、H23年3月の茨城県(ひたちなか市)の6.0 MBq/km2でした。これを茨城県の事故前11年間の土壌へのストロンチウム90沈着量と比べると、0.6~8.3%と小さな値となっています。
また、事故後のH23年3月以降の各都道府県のデータで、事故前の11年間の全国のストロンチウム90放射能濃度における最大値0.3MBq/km2を超えるものについて調査したところ、ストロンチウム90放射能濃度は、放射性セシウム濃度(セシウム137放射能濃度+セシウム134放射能濃度)の600分の1程度以下と非常に少ないことが確認されました。なお、福島原発から距離が離れるほど、ストロンチウム90の放射能濃度が低下する傾向も確認されました。