食中毒

食中毒とは

「食中毒」とは、一般的に食品の中に混入した原因物質により、腹痛、下痢、嘔吐など、急性胃腸炎などの症状を起こす病気のことをいいます。

食中毒の取り扱い方

私たちは、なにげなく「食中毒」という言葉を使いますが、国や市町村・保健所などの行政機関で使われる「食中毒」という言葉は、「食品衛生法」という法律で定められており、医師が「食中毒」*と診断して、管轄の保健所長に届け出た場合に「食中毒」という言葉が使われることになっています。
つまり、行政機関が発表する「食中毒」は、常に医師が診断したものだけを扱っているということです。
最近は同じ食材を広い地域で利用したり、食品流通のスピードなどにより、同じ原因による広い範囲にわたる食中毒事例が発見されることもあります。 たとえば、平成10年のイクラによる腸管出血性大腸菌O157事例や平成11年のイカ珍味によるサルモネラ・オラニエンブルク事例では、原因食品を製造した場所から離れて全国規模で食中毒事件が発生しました。
おかしいと思ったら我慢したり売薬に頼らず、お医者さんにかかることをお勧めします。

*「食中毒の疑い」の場合も含まれます。

食中毒の原因

食中毒の原因を大別すると次のようになります。 この中では微生物によるものが大変多く、食中毒というと微生物による食中毒だけを考えがちですが、自然毒によるものもまだまだ発生しています。

1. 微生物によるもの a. 細菌が原因となるもの
(例)腸炎ビブリオ菌、サルモネラ、カンピロバクター菌、病原大腸菌、
   黄色ブドウ球菌、 ウェルシュ菌、ボツリヌス菌など
b. ウイルスが原因となるもの
(例)小型球形ウイルスなど
2. 自然毒によるもの (例)毒キノコ、フグ、毒草、貝毒など
3. 化学物質によるもの (例)メチルアルコールなど

食中毒の季節は

細菌性食中毒は夏場に多く、腸炎ビブリオがそのよい例です。 一方、小型球形ウイルスによる食中毒は冬によく発生します。 また、キノコによる食中毒は、キノコの収穫時期によく発生します。 しかし、細菌性食中毒でも菌の種類により年中発生するものもあります。
また、冷凍したカキによる小型球形ウイルスの食中毒が夏に発生したり、冷凍魚介類による腸炎ビブリオ食中毒が冬に発生したりしており、食品の保存法や流通の変化により、季節に関係なく発生する場合があるので、一年中いつでも食中毒に対する注意が必要です。

「食中毒警報」を知っていますか?

主に細菌性の食中毒を防止するために、保健所では「食中毒警報」を発しています。 この「食中毒警報」は、新聞やテレビなどで報道されたり、自治体などの広報車によって食品を取り扱う方や住民のみなさんへ注意を呼びかけるなどしています。

・食中毒警報は、保健所長が気象条件など、次の条件で発令します。
・警報は48時間継続し、新たな発令がない場合は自動的に解除されます。

1. 当日の最高気温が28℃以上と予想される場合。
2. 前日までの2日間の最低気温が20℃以上であり、湿度が85%以上であった場合。
3. 前日までの2日間の平均気温が23℃以上であり、湿度が85%以上であった場合。
4. その他、保健所長が必要と認めた場合。

食中毒を予防するためには

食中毒を予防するには、それぞれの原因となるものの特性を良く知り、個別に対応する必要がありますが、一般的には次のことに気をつけましょう。

細菌の場合 食品の中で増殖したり、汚れた手指による取り扱いでの2次感染がありますので、食品の冷却もしくは加熱を行う、食材を充分洗浄し、ついている細菌を落とす、手早く調理し、できた食品を長時間室温に置いておかないなどの注意が必要です。
ウイルスの場合 二枚貝(カキなど)を生で食べる時に感染しやすいので、「加熱用」のカキを生で食べない、また、加熱は充分行うことが大事です。
自然毒の場合 野草やキノコなど、良く知らないものは絶対に食べない。フグは、フグ調理師の資格を持った人の調理したものを購入するなどして、むやみなチャレンジはやめましょう。
化学物質の場合 以前はメチルアルコールなどの化学物質が食品中に混入し、食中毒事例が発生しましたが、現在では信用のおける会社の商品を購入すると、まず問題はないと考えられます。